神戸地方裁判所 昭和26年(行)5号・昭26年(行)12号・昭26年(行)16号 判決
原告 日本国有鉄道
被告 兵庫県農業委員会
一、主 文
被告が昭和二五年一二月二六日付、昭和二六年三月一日付、及び同年六月二一日付を以て別紙第一乃至第三目録記載土地の買収計画に対する原告の訴願をそれぞれ棄却した裁決は、いずれもこれを取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
二、事 実
原告訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決を求め、その請求の原因として、
第一、別紙第一乃至第三日目録記載の土地は東京下関間新幹線鉄道増設計画に基き、昭和一七年中に国(鉄道省)が原所有者から買収し、爾来鉄道用地として鉄道省(その後運輸省に変る)が管理して来た国有財産であつたところ、昭和二四年六月一日日本国有鉄道法(以下単に国鉄法と略称する)の施行により原告が右鉄道事業及びこれに附帯する一切のものと共に国よりこれを承継するに至つた。
第二、その後、本件土地は自作農創設特別措置法(以下単に自創法と略称する)による買収の対象とされるに至り、西宮市農地委員会が、昭和二五年一〇月二六日右第一目録の土地につき、昭和二六年一月一三日別紙第二目録の土地につき、又姫路市姫路地区農地委員会が同年三月二七日別紙第三目録の土地につき、それぞれ自創法第三条第五項第四号により法人所有の小作地として買収計画を樹立した。これに対し原告は異議を申立て、地元各農地委員会よりいずれもこれを棄却されたので、更に適法期間内に訴願をなしたところ、被告(昭和二六年法律第八八号農業委員会法施行前の兵庫県農地委員会、以下同じ)は右第一目録の土地につき昭和二六年二月九日到達の、昭和二五年一二月二三日付裁決書を以て、第二目録の土地につき昭和二六年三月二〇日到達の、同年三月一〇日付裁決書を以つて、第三目録の土地につき同年七月一一日到達の同年六月二一日付裁決書を以て、それぞれ訴願を棄却した。
第三、然しながら、本件買収計画、従つて又これを支持した被告の裁決は、次のような理由から違法である。
(一) 本件土地は自創法に所謂農地に該当しない。本件土地が国により買収される前には農地であつたことは事実であるが国が鉄道用地としてこれを買収したことにより国有に編入され、而も国有財産中の企業用財産(旧公用財産)たる鉄道用地としてその使用目的が確定し、耕作の目的に供される農地たる性格はここに本質的に消滅したものと云わねばならない。蓋し、自創法第二条の農地とは耕作の目的に供される土地を云うのであるから、使用目的如何によつては現に耕作されていなくとも農地であり得る反面、耕作の現象のみでは直ちに農地とは云えない場合もあり得るのであつて、農地たるためには権利者の側に農地として耕作に供する目的乃至意思の裏付けが伴うことを要するものと云うべく、而して前述の通り一旦国有の鉄道用地となつた以上、かような所有者の使用目的乃至意思に反して、一時的農耕の事実のみで以つて未だ農地とするには足りず、又その後、原告が本件土地を承継しても、一切の条件は国有のときと同一で、鉄道用地たる性格には変更のありようがない。
(二) しかのみならず、本件土地は同法第三条に所謂小作地ではない。本件土地が国有に編入された後、戦争が次第に苛烈となり、国はこれに対する工事着手を一時見送るの已むなきに立至つた結果、国は附近の農民に本件土地の使用を承認したが右は全く用地確保の便法としてなされた一時的使用の承認であつて、もつぱら右地上に建造物その他一切の工作物の設置を禁止する趣旨に過ぎず、このため国において本件土地を工事施行に必要とする場合は何時にても使用承認を取消し明渡を受け得べきことを条件として使用期間を一年毎に更新し来り、又昭和二四年原告が本件土地を承継した後も、昭和二五年四月一日国鉄法が改正されるまで従来通り国有財産法が適用され、国有財産法によれば特別の規定ある場合の外はすべて有料と定められている関係上従前評定された低額の使用料を今日まで耕作者より納入せしめているが、もとよりこれを以つて土地使用に対する経済的対価関係と目すべきものではない。従つて、右の使用承認は何等私法上の貸借関係の設定を意味せず、これを要するに、本件土地が自創法第三条による買収の対象たる小作地でないこと明である。
(三) 仮りに農地であるとしても、国鉄法第六三条により原告所有農地は自創法上政府所有農地として取扱わるべきものである。
自創法は昭和二一年一二月二九日施行され、その農地買収の基準は原則として昭和二〇年一一月二三日現在の事実に置かれ、又その買収の終期も一応昭和二三年一二月末日までと定められたものであつて、その間本件土地は国有財産中の企業用財産(旧公用財産)に属し買収の対象とならなかつたし、原告がこれを承継した後も、原告は国とは別個の法人とは云え、あくまで国家の最高経営権に基き経営される完全国有の公共企業体であり、その実体は国と全く異体同質のものとして、その高度の公共性と国家性において自創法第三条の予想しない特殊の公法人と云うべく、従つて本件土地は原告そのものの実体から云つても、国有時代と同様の取扱いを受けるべきもので、自創法第三条による買収の対象とはなり得ないものである。
原告の右のような基本性格を端的に物語るものこそ国鉄法第六三条であつて、同条の「道路運送法等その他の法令の適用については、この法律又は別に定める法律を以て別段の定めをした場合を除く外、国鉄を国と、国鉄総裁を主務大臣とみなす」との規定により、原告所有の本件土地は自創法の適用上当然同法施行令第一二条に所謂「政府所有に属する農地」とみなされ、国有地と同じ取扱いを受ける結果、本件土地につき市町村農地委員会が自作農創設の目的に供することを相当とする決定を為すには被告がこれを承認せねばならず、被告がその承認を為すには国鉄総裁の認可を得なければその効力を生じないものであることは右第一二条の規定上明かである。右のように国鉄所有地が自創法第三条に所謂法人所有地ではなく、むしろ政府所有地とみなさるべきものとすれば、右総裁の認可を経て後、同令第一二条、第一三条によりこれを農林大臣へ移管すべきである。これを要するに、本件土地を自作農創設の対象に供する上において、少くとも先ず国鉄総裁の認可を受けることを要し、これなくしては如何なる処分もその効力を生じない。従つて右総裁の認可を得ることなくして自創法第三条に基き為した本件買収計画はその違法なること明かである。
(四) 仮りに然らずとするも本件土地は近くその使用目的を変更することを相当とする農地として被告は自創法第五条第五号による指定をなすか或は指定の承認をなすべきに拘らずこれをしなかつた違法がある。
本件土地は戦争前、東京下関間新幹線増設計画の一部をなす鉄道用地として買収されたが、右幹線計画は東海道線山陽線の輸送力を拡充する大動脈としてその早急な実現を期待されている中、戦争の苛烈と戦後の国家財政の逼迫のため一時その工事の施行を見送り遂に今日まで遷延するの已むなきに至つているが、勿論これを以つて、この計画は放棄されたものでなく、その必要性には今日少しも変化はない。むしろ、一般に鉄道施設計画は十数年の将来の長期且つ広範囲に亘るものであつて、これに必要な用地はその施設工事の特殊事情と用地買収の困難性と相俟つて工事施工に数年も先駆してその買収を行いそれを確保するのでなければ到底円滑な工事の施行は期し難く、又一面、用地買収は予算の配布事情やその買収事務の進捗状況等、その計画の具体的事情により必ずしも全地域の用地買収事務が同時に完了するとは限らず本件新幹線用地も長距離に亘るため、工事施行上その重要部分から用地を買収し遂次工事着手の予定であつたので、これを以つて計画の具体性を欠くとか計画を放棄したものとか即断すべきでないことは勿論で、斯ような国家的企業の目的から又事業そのものの公共性から云つても、近くその使用目的を変更することを相当とする土地たる客観的事情にあるものと云うべく、而も運輸省当時、本件土地と使用目的を同じくする兵庫県明石郡魚住村所在の土地につき被告より自創法施行令第一二条による認可の申請を為したところ、昭和二三年三月一〇日運輸大臣は東京下関間新幹線増設のため必要であるとの理由で認可を拒否した。この事実は被告も充分諒知しており且つその後原告がこれを承継した以外にすべての条件は当時と少しも変らないのみならず、その後も本件異議及び訴願に際し斯ような幹線計画の事情と必要性を繰返し明かにしたのであるから、被告としては、当然自創法第五条第五号による使用目的変更を相当とする旨の指定乃至指定の承認を為すべきに拘らずこれを為さずして却つて、本件買収計画を承認した違法がある。
以上の理由により前記各裁決の取消を求めるため本訴に及んだ次第であると述べた。(立証省略)
被告指定代理人は原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として、原告主張事実中、第一、第二項の事実及び本件土地が国の買収前農地であつたことはこれを認めるが、その余は争う、本件土地は過去十数年に亘り、専業農家たる現在の耕作者等が一貫して耕作の目的に供して来た土地であり、その間、土地の所有者が個人から国へ、国から更に原告である国鉄へと移つた以外に農耕の事実に少しも変更がない。自創法第二条に所謂農地とは現に耕作の用に供し又は供し得る土地を指称し、あくまでその土地利用の現状に基き客観的に判定すべきであつて、土地所有の動機乃至目的を以て農地たる事実を変えることはできない。しかして、本件土地が、国の買収前と少しも変らない田畑として現に耕作者等が農耕の対象としており、しかも原告は現在の耕作者等が耕作をつゞけることを承認し、同時に耕作者等より定額の使用料を徴収して来ているのであるから右耕作者等がいずれも本件土地につき私法上の賃借関係にあるものと云うべく、従つて、本件土地が農地であることは勿論、自創法上、買収の対象たる小作地であることも亦明かである。
次に、本件土地はあくまで、国鉄所有の小作地として買収の対象となるべきものであり、自創法上政府所有地とみなされるべきものではない。国鉄が国とは別個の法人であることは国鉄法第二条に明規するところであり、これが国鉄の基本性格であることは国鉄法制定の趣旨に照らしても極めて明白であり、国鉄法第六三条の、道路運送法等その他の法令の適用については国鉄を国とみなす旨の規定も、国鉄の右の独立の権利主体性を制限するものではない。それは国有鉄道事業の公共性と特殊性にかんがみ、その能率的運営を確保するため、一般私企業の受ける各種の法令の拘束を排除し又は緩和するに必要な範囲において国鉄を特別の地位に置く趣旨に出でた技術的な規定であつて、その適用にはおのずから一定の限界があり、少くとも、国と国鉄との間の直接の関係を律すべき場合にまで国鉄を国とみなさるべきではない。蓋し、国との関係において国鉄を独立の法人とすることこそ国鉄法制定の趣旨であり、又財政法、会計法、国有財産法等国の会計を規律することを目的とする法令の適用の場合を同法第六十三条が除外している趣旨もここにあるからである。而して、自創法上、国鉄所有の本件土地を自作農創設の目的に供することは、国鉄より国への土地の移転を意味し、正に国鉄と国の間の法律関係の調整が問題となる場合であるから国鉄所有地を直ちに政府所有地とみなすことは、前示国鉄法第六三条の趣旨からしても許されない。この場合、やはり、一応別個の権利主体間の移転として、買収の手続による外なく、従つて、権利移転の余地の全くない純然たる官庁内部の管理換の規定たる自創法施行令第一二条、第一三条を本件土地につき準用し得ないことは極めて明白であるから、右管理換の規定を前提とする認可の手続も全く適用の余地なく、本件自創法第三条による買収手続は正当であつて違法ではない。
第三に、本件土地は被告において自創法第五条第五号による指定乃至指定の承認を為すべき土地でもない。使用目的変更を相当とするか否かは当該農地そのものの客観的現状とその環境、位置等から農地として存続させることが非常識ではないかどうかと云う評価によるべきところ、本件第一、第二目録記載の土地は西宮地区にあり三町一反三畝五歩、第三目録の土地は姫路地区にあり、一四町三反一畝一六歩で、広大にして而も周囲一帯も農村であり、むしろ自作農創設には典型的な好地域と云うことができる。而して、原告主張の新幹線計画なるものは膨張期における我国の所謂大陸政策を背景として構想された国策線であつて、終戦と共に背景の諸条件が一変したため、机上の企画の域を出でずして一応中絶したものと見る外なきのみならず、今日に至るまでその計画に何等の具体的進捗を見ず又これを裏付けるに足る予算的措置の講ぜられたこともないから、近く右計画が実行に移されと云う気配すらない。従つて、本件土地は近く使用目的を変更するを相当とする農地とは云えず、仮りに、然らずとするも、その相当性の認定及びこれが指定乃至指定の承認を為すべきか否かは被告の自由裁量事項であるから、右指定等をしなかつたこと自体は少くとも違法ではない。
以上の通り本件土地に対する地元各地区農地委員会の小作地としての買収計画及びこれを支持した被告の裁決は、いずれも正当であつて何等違法ではない。従つて原告の請求は失当であると述べた。(立証省略)
三、理 由
別紙第一乃至第三目録記載の土地が原告主張の計画に基き昭和一七年中に国が原所有者から買収し、鉄道用地として鉄道省(後に運輸省)が管理して来た国有財産であつたところ、その後、原告主張のような経緯により所有土地になつたこと、及び右土地について原告の主張の各日、地元農地委員会が法人所有の小作地として買収計画を定めたこと、原告がこれを不服として異議を申立て、棄却されるや、適法期間内に更に訴願を為したところ、被告が原告主張の各日、原告に到達の裁決書を以て訴願棄却の裁決を為したことは当事者間に争がない。
(一) 被告は本件土地は自創法上の買収の対象たる農地である旨主張し、原告は国が鉄道用地として買収した際、農地たる性格の失はれた旨主張するから、先ず、この点につき判断する。
本件土地がいずれも、昭和一七年、国により買収されるまで農地であつたことは当事者間に争なきところ、右事実に成立に争なき乙第一、二号証、乙第一〇号証、第一二乃至第一五号証、証人杉知也、同太田梅一、同岡田八百蔵、同松本武の各証言を綜合すると、本件土地は元々田畑として古くから耕作に供されて来た農地であつて、前記のように昭和一七年一旦鉄道用地として国の買収するところとなつたが、たまたま戦争が苛烈となり、国はこれに対する鉄道敷設工事の着手を一時見送らざるを得なくなり、一方、本件土地の従前の耕作者は買収後においても、その耕作を廃することなく引続き耕作を行い、昭和一八年以降は国乃至原告との間に使用承認期間を一年毎に更新し且つ一定年額の使用料(昭和二四、五年以降においてはその額は一般の小作料と殆ど高低がない)を納付しながら今日に至るまで、本件土地を耕作の用に供して来たものであることを推認するに難くない。
しかして、自創法に所謂農地即ち「耕作の目的に供される土地」とは、先ずその現況に即し土地が現に耕作に供されているか又は現在たまたま一時耕作に供されていなくとも例えば休耕地の如く、少くとも耕作に供せられ得る状態にある土地たることを要すると共に、他方当該土地の耕作がその所有者の意思に明かに反する全くの不法耕作にあらざることは勿論である。したがつて農地なりや否やの判断においても土地所有者の意思を無視することはできないけれどもそれだからと云つて土地所有者の主観的な当初の入手目的乃至将来の使用意図のみによつて、たやすく農地たると否とを左右すべきではない。本件土地の如く、国が買収しただけで直ちに農地たる性質を失わないことは勿論、新幹線増設計画に基く鉄道用地としてその用途が定まつていたとしても、本件土地が前述の通り、国有以前、田又は畑であつたときと同じ状態において、十数年来従前の耕作者により、国乃至原告の使用承認を得て耕作の用に供されて来た事実によつて、農地であることは疑問の余地がなく、それは高々、鉄道用地として使用されることあるべき農地であると云うに止まり、そのため農地以外のものとはなり得ない。従つて、原告の右主張は採用できない。
(二) 次に、国鉄法第六三条は自創法上如何に適用されるか、国鉄所有地は自創法上、果して「政府所有に属する農地」とみなされるか、この点につき判断する。
原告即ち国鉄は国鉄法第一条以下に規定する通り、従前の純然たる国家行政機関によつて運営されて来た国有鉄道事業を国から引継ぎ、これを最も能率的に運営させ以て公共の福祉を増進させると云う国家目的を与えられ設立された公法上の法人であつて、国とは一応別個の法人格を有するとは云え完全国有の公共企業体であり、予算は国会の審議を必要とし会計検査院がこれを検査し、運輸大臣の監督に服し、殊に運輸大臣の許可又は認可なくしては鉄道新線の建設或は営業線の休廃止等ができないこと、国鉄利益金の政府一般会計への納付、政府よりの損失交付金の措置、予算決算、財産処分の制限等の諸規定よりしても、その実体が国と全く異体同質であり、政府機関と選ぶところなきものであることを窺うに十分である。かくて、国鉄法第六三条は国鉄の右のような使命と性格にかんがみ、国鉄が一般私企業と同様の法規上の拘束を受けることにより、その能率的合理的運営の阻害されることなきよう、従来国が経営していた時と同様の法令適用上の地位に国鉄を置く必要があるとする趣旨の規定に外ならない。そこで、同条は法律で別段の定めなき限り、他の法令の適用につき、国鉄を国とみなす旨規定しているのであるから、当該法令上、国鉄所有地は国有地とみなされ、国有地に適用される規定が国鉄所有地にも適用されることとなり、この理は右国鉄法第六三条の文理上から云つても、亦前述のような右規定の趣旨とするところから見ても、自創法にも当然その適用があるものと解すべきである。勿論、国鉄は国に対する関係では別個の法人であると云う意味において、国とみなす規定の適用についても一定の限界の存在を認めざるを得ないけれども、それは、国鉄法第六三条自体も除外している通り、財政法、会計法、国有財産法等国の会計を規律することを目的とする法令の適用の場合に限るのであつて、自創法は右に所謂国の会計を規律することを目的とする法令とは解することはできないから、自創法の適用の場合に国鉄を国とみなす規定の適用を除外すべき理由はない。従つて、自創法上国鉄所有地は国有即ち、政府所有地とみなされ、政府所有地が受けると同様の取扱いを受くべきところ、凡そ自創法上、自作農創設の目的に供すべき農地はすべて先ず農林大臣の所管に移り、然る後、売渡処分が行われる建前であり、しかして、国有農地の管理換の手続は、市町村農地委員会が自作農創設の目的に供するを相当とする決定を為し、都道府県農地委員会が主務大臣の認可を得てこれを承認すると共に、所管大臣が国有財産としての、その特別の用途又は目的を廃止し、私物たる普通財産(旧雑種財産)にした上、これを農林大臣の所管に移すべきものであるから、本件土地も、自創法施行令第一二条第一項の「政府所有の農地」とみなされ、それにつき、市町村農地委員会が自作農創設の目的に供する決定をするには被告がこれを承認することを要し、而して被告がこれを承認するには同条第三項の準用により所管大臣とみなさるべき国鉄総裁の認可を受けなければ、その効力を生じないものと解するを相当とする。
従つて、右認可を経べき手続に従はず、而も買収手続によつた本件各買収計画はその違法なること明かであり、延いては又、これを支持し、原告の訴願を棄却した被告の裁決の違法なることも明白であるから、爾余の争点につき判断するまでもなく、原告の本訴請求は理由があるものとしてこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し、主文の通り判決する。
(裁判官 古川静夫 西村哲夫 田尾桃二)
(目録省略)